くまの町家リノベ&子育てブログ

リノベーション・子育て・暮らしのことを書きます。

【京町家リノベ】贈与税非課税の特例は使える?税務署にも聞いてみた!

こんにちは。京町家をリノベーションして車2台が入るガレージハウスを作っている,くまです。

くまくん

町家を買うのに,親グマが500万円も資金援助してくれることになったクマ~!これで何とか頭金も払えそうクマ!

雷鳥くん

ちょっとまって,クマくん。贈与税かかるから,500万円を丸々もらうことはできないよ!

くまくん

は?!なんでクマ??!!クマは税金を払いたくないクマ!!!

今回は,京町家を取得する際,親や祖父母からの贈与を非課税で受け取ることができるかです。

結論から言うと,私たちが買った京町家の場合は,非課税特例の対象にはなりませんでした。

ただ,京町家に限らず,「リノベーションで家を買うときの贈与税」についての情報がインターネットにはほとんどありませんでしたので, 税務署の回答を交えながら,解説していきたいと思います。

贈与税って何?

住宅は1000万円単位の大きな買い物です。

しかも,すべてを住宅ローンで賄えるわけでなく,土地・建物+リノベーション代金(取得額)のほかに,

契約金(頭金)・銀行への保証料・不動産会社の仲介料etc… など,「諸費用」を現金で払わなければなりません。

そのため大体,取得資金の1割は現金で持っておくことが推奨されます。

取得額が5000万円だとしたら,500万円程度と,かなり高額です。

自分たちの貯金があるのが一番ですが,まだ若いと難しいのが現実。

親族(親や祖父母)からお金を援助してもらうことがあると思います。

そのお金を受け取る際,「贈与税」が発生します。

贈与税は,贈与を受けた年の翌年に,税務署に自分で申告します。

なんだ,自己申告か!と思って申告しないと追徴課税を取られることになります。特に不動産取得は登記されて情報が税務署に行くので,かならずチェックされると思っておいたほうがいいでしょう。

贈与税はどれくらいかかる?

贈与税は,「一人の人が1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対してかかる税金」です。

贈与を受けた金額により,10~55%の税金が課されます。

国税庁のサイトより,特例贈与の場合の税率を抜粋)

携帯用サイト閉鎖のお知らせ|国税庁

少しわかりにくいので例をあげます。

例えば,父親名義の口座から300万円,母親名義の口座から100万円,合計400万円をあなたが受け取ったとします。

その場合,基礎控除である110万円までは非課税ですが,それを超える残りの290万円には20%の贈与税がかかります。

金額にすると,58万円ですね。なので,400万円もらえると思っていたのに,実際には342万円しか受け取れないことになるのです。

かなりの額が税金として持っていかれてしまうことがわかると思います。

贈与税回避の方法を考えてみた!【税務署の回答付き】

①「住宅取得等資金の贈与に係る非課税特例」

大きな金額をもらうとかかってしまう贈与税ですが,住宅取得に関しては, 「住宅取得等資金の贈与に係る非課税特例」といって,1000万円まで(※)を上限として,贈与税非課税で受け取ることができます

No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税|国税庁

(※…ただし,贈与を受けた時期や住宅の性能によって変動する。詳しくは上記リンクを参照)

しかし,この特例制度を調べてみると,「新築」もしくは「住んでいる家のリフォーム」が主な対象であることがわかります。

町家のリノベーションで非課税制度が使えない大きな理由としては,上記タックスアンサーの「4 住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等の要件」の以下引用の太字部分の条件がネックになります。

(1) 新築又は取得の場合の要件

イ 新築又は取得した住宅用の家屋の登記簿上の床面積(マンションなどの区分所有建物の場合はその専有部分の床面積)が50平方メートル以上240平方メートル以下で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであること。

ロ 取得した住宅が次のいずれかに該当すること。

① 建築後使用されたことのない住宅用の家屋

② 建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、その取得の日以前20年以内(耐火建築物の場合は25年以内)に建築されたもの

(注) 耐火建築物とは、登記簿に記録された家屋の構造が鉄骨造、鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造などのものをいいます。

③ 建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、地震に対する安全性に係る基準に適合するものであることにつき、一定の書類により証明されたもの

④ 上記1及び1のいずれにも該当しない建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、その住宅用の家屋の取得の日までに同日以後その住宅用の家屋の耐震改修を行うことにつき、一定の申請書等に基づいて都道府県知事などに申請をし、かつ、贈与を受けた翌年3月15日までにその耐震改修によりその住宅用の家屋が耐震基準に適合することとなったことにつき一定の証明書等により証明がされたもの

(2) 増改築等の場合の要件

イ 増改築等後の住宅用の家屋の登記簿上の床面積(マンションなどの区分所有建物の場合はその専有部分の床面積)が50平方メートル以上240平方メートル以下で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであること。

ロ 増改築等に係る工事が、自己が所有し、かつ居住している家屋に対して行われたもので、一定の工事に該当することについて、「確認済証の写し」、「検査済証の写し」又は「増改築等工事証明書」などの書類により証明されたものであること。

ハ 増改築等に係る工事に要した費用の額が100万円以上であること。

 また、増改築等の工事に要した費用の額の2分の1以上が、自己の居住の用に供される部分の工事に要したものであること。

 ※ ●で囲まれた赤文字の数字は筆者加筆

私たちが購入した町家の場合の条件は以下でした。

  • …建築後20年以上過ぎている(大正築)
  • …古い町家なので,耐震性を満たしていない(新耐震基準の制定は1981年)
  • …リノベーションに際して耐震性の向上は行うつもりであるが,新耐震基準を満たすほどの耐震向上は見込めない。さらに,不動産取得日以前に耐震改修の申請もしていない
  • …購入した後,リノベーションしてから住むので,所有はしているが居住していない状態である

【税務署の回答】

税務署

「 (1) 新築又は取得の場合の要件」に関しては,やはり古い建物なので,適用できません。
「 (2) 増改築等の場合の要件」に関しても,住んでいない建物の増改築は,適用対象外です。

くまくん

わかってはいたけど,わざわざ言われると悔しいクマ~!!

② 土地購入に対して,「住宅取得資金に係る贈与税非課税特例」を適用する

ならば!と考えたのがこちら。

住宅用家屋を新築するための土地の購入資金に充てるために金銭の贈与を受けた場合における住宅取得等資金の贈与の特例の適用の可否|国税庁

「住んでいない家のリフォームがだめなら,古家付き土地を買った代金に対しての贈与非課税はどうだ!」

という魂胆です。

古家付き土地とは,建物としての価値がないようなボロ家が乗っている土地のことで,建物を潰すか生かすかは購入者が決めるものです。

正規表現ではなく,あくまで不動産業界の用語として使われています。

そもそも,中古住宅か古家付き土地かなんて,不動産会社や売り主が勝手に判断して掲載しているだけで,法的に決まりがあるわけではありません

上記タックスアンサーを見ると,土地の購入にも住宅取得資金の贈与に係る非課税特例が適用される,と書いてあります。

建物部分は,以下太字部分を根拠にして非課税適用できるのでは?と思いました。

 ただし、住宅取得等資金の贈与を受けた年の翌年3月15日までに、取得した土地の上に住宅用家屋を新築(新築に準ずる状態として、屋根(その骨組みを含みます。)を有し、土地に定着した建造物として認められる時以後の状態にあるものを含みます。)していない場合には、当該贈与により取得した金銭については住宅取得等資金の贈与の特例の適用はありません。

【税務署の回答】

税務署

このタックスアンサーの場合は,あくまで「新築を建てるために購入した土地」が前提です。また,「新築に準ずる状態」というのは,「新築の建築途中で,屋根が乗った骨組みの状態でも可」というための文言です。すでに建っている建物は含まれません。

くまくん

なんでクマ~~!!!!

③「相続時精算課税制度」

相続時精算課税制度とは,2500万円までの贈与税を非課税にする代わりに,相続が発生した時に,それまで贈与してきた金額を相続時に上乗せして,相続税の精算を行う制度です。

平たく言うと,贈与税の後払いです。

以下のサイトがわかりやすくまとめています。

advisors-freee.jp

毎年110万円の控除枠を捨てることになるので,いずれ相続することになる実家の財産状況を把握したうえで,選択しましょう。

相続する財産がほとんどないよ,という方はこちらのほうがお得です。

ただし,相続時精算課税制度を選択してしまうと,元に戻せませんので注意です。

【税務署の回答】

税務署

家の条件によらず,これは使えます。ご自身の判断で使用してください。

くまくん

わかったクマ…

非課税特例が使えるかどうかは,個別に税務署に聞いてみよう

私たちの町家の場合は使えませんでしたが,町家ではなく普通の中古住宅のリノベーションであれば,条件によっては非課税になる可能性があります。

また,今回載せた税務署の回答は,あくまで私たち納税所管税務署の回答ですので,絶対とは思わず参考程度に見てください。(でも国税なんだから,全国廿浦浦同じ回答じゃないとおかしいと思いますがね…)

税務署は随時相談にも乗ってくれますので,国税庁のHPから,自分の管轄税務署を探し,直接相談してみるとよいでしょう。

その場合,事前にタックスアンサーなどを見て予習していき,「この部分のこれに該当すると思うが,どうか?」という聞き方で行きましょう。

税務署は「納税者が多く税金を払ってくれる分には何も言わない」のが基本スタンスです。ノーガード戦法で行くと,適当に返事されてしまいます。

  • 手順

①納税地の税務署に電話で予約(「贈与税について相談したいのですが」というだけでOK。内容は当日に。)

②家の謄本や耐震証明の書類があれば持っていく

まとめ

住宅取得等資金の贈与に係る非課税特例は,だいたいの町家リノベーションには使えない制度であると言えます。

リノベーションというものが想定されていないときに作られた法令なので,対応していないのは仕方がないとは思いますが,

町家を保存していこうとしている京都市の思惑とは裏腹に,個人購入者の障壁となってしまっている感は否めません。

今後,改善されることを望みます。