【町家リノベ】築100年の町家でも住宅ローン控除が使えた!申請の注意点
こんにちは。京町家をリノベーションして車2台が入るガレージハウスを作っている,くまです。

町家リノベも完成!そろそろ確定申告の時期クマ〜。 でも待てクマ…町家で住宅ローン控除って使えるクマか? 贈与のときもえらい目にあったクマ。

そうだねクマくん。でも安心して。住宅ローン控除は町家リノベでも使えたよ!税理士さんにも相談したから確かだよ!

ほんとクマか!できる雷鳥クマね!!
今回は,京町家リノベーションでも住宅ローン控除の申請ができるかどうかです。
結論から言うと,私たちが買った京町家の場合は,増改築にあたる金額部分に限り住宅ローン控除を行うことができました!
以下、解説していきたいと思います。
そもそも「住宅ローン控除」って何?
「住宅ローン控除」とは、正しくは「住宅借入金等特別控除」といいます。
個人が住宅ローン等を利用して、マイホームを新築、取得または増改築等(以下「取得等」といいます。)をし、令和3年12月31日までに自己の居住の用に供した場合で一定の要件を満たす場合において、その取得等に係る住宅ローン等の年末残高の合計額等を基として計算した金額を、居住の用に供した年分以後の各年分の所得税額から控除するものです。
No.1216 増改築等をした場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁
簡単に言うと、ローン残高の1%分、1年に支払うべき税金から控除するよ(上限:40万円)というものです。
例えば、4000万円の住宅ローンを組んでいたとすれば、1年で1%、つまり40万円分、税金を払わなくて済みます。
現在の住宅ローン控除の期間は10年ありますので、全期間で300〜400万円分お得というものです。(ローン残高の1%なので、返済により元金が目減りすれば、控除額も減ります)
仮に住宅ローンの利率が1%だとすれば、利息分を国がほとんど負担してくれるという素晴らしい制度です。
ただ、2022年以降の住宅ローン控除の改訂で、控除率が1%から0.7%へと大幅引き下げとなりました。
これから住宅ローンを使って町家を購入しようという方については、動向を確認しておかれることをお勧めします。
(千日太郎さんの記事がとても参考になります。) https://news.yahoo.co.jp/articles/ad4faf20ea42be61cc3493146ba5cce944f9b6d9news.yahoo.co.jp
町家で住宅ローンが使えるかどうかについては、以下の記事を参考にしてください。
町家は「増改築等」で申請可能!
さて、住宅ローン控除の申請については、いくつかの入口があります。
税務署のサイトを見てみましょう。
(他にも省エネ住宅改修など細かいものがありますが、割愛します)
町家リノベはどれにあたるでしょうか?
新築は論外ですが、中古住宅にも該当しません(町家の定義は築100年以上。中古住宅の定義である築25年以内には該当しないため)
町家リノベーションは「増改築等」に該当します。
控除を受けられる適用条件を確認しよう
それでは、タックスアンサーNo.1216 増改築等をした場合 を参考に、町家が住宅ローン控除の対象に該当するかどうかを確認していきます。
以下の(1)〜(8)の全てに該当する必要があります。
(1)自己が所有し、かつ、自己の居住の用に供する家屋について行う増改築等であること。
これについては、町家リノベーションは素体となる町家を購入してからのリノベーション契約となるため、クリアしています。
※ただ、すでに改修済みの町家を購入される場合は事情が変わってくるため、不動産屋さんに確認されることをおすすめします。
(2)次のいずれかの工事に該当するものであること。
イ 増築、改築、建築基準法に規定する大規模な修繕または大規模の模様替えの工事
(注)「建築基準法に規定する大規模の修繕または大規模の模様替え」とは、家屋の壁(建築物の構造上重要でない間仕切壁を除きます。)、柱(間柱を除きます。)、床(最下階の床を除きます。)、はり、屋根または階段(屋外階段を除きます。)のいずれか一以上について行う過半の修繕・模様替えをいいます。
ロ マンションなどの区分所有建物のうち、その人が区分所有する部分の床、階段または壁の過半について行う一定の修繕・模様替えの工事(イに該当するものを除きます。)
ハ 家屋(マンションなどの区分所有建物にあっては、その人が区分所有する部分に限ります。)のうち居室、調理室、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関または廊下の一室の床または壁の全部について行う修繕・模様替えの工事(イおよびロに該当するものを除きます。)
ニ 建築基準法施行令の構造強度等に関する規定または地震に対する安全性に係る基準に適合させるための一定の修繕・模様替えの工事(イからハに該当するものを除きます。)
ホ 一定のバリアフリー改修工事(イからニに該当するものを除きます。その増改築等をした部分を平成19年4月1日以後に居住の用に供した場合に限ります。)
ヘ 一定の省エネ改修工事(イからホに該当するものを除きます。その増改築等をした部分を平成20年4月1日以後の居住の用に供した場合に限ります。)
この場合、イ〜ヘのいずれかに該当すればよいです。
町家リノベは「イ 増築、改築、建築基準法に規定する大規模な修繕または大規模の模様替えの工事」または「ハ 家屋(マンションなどの区分所有建物にあっては、その人が区分所有する部分に限ります。)のうち居室、調理室、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関または廊下の一室の床または壁の全部について行う修繕・模様替えの工事」に該当します。
基本的に町家は老朽化していますので、基本的に構造上重要な壁・柱・床・屋根の過半以上を修繕する工事となるはずです。
リフォーム委託先の工務店にも確認をお願いしましょう。
(3)増改築等の日から6か月以内に居住の用に供し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること。
(注1)個人が死亡した日の属する年にあっては、同日まで引き続き住んでいること。
(注2)中古住宅を取得した後、その住宅に入居することなく増改築等工事を行った場合の住宅借入金等特別控除については、新型コロナウイルス感染症等の影響によって工事が遅延したことなどにより、その住宅への入居が控除の適用要件である入居期限要件(取得の日から6か月以内)を満たさないこととなった場合でも、次の要件を満たすときは、その適用を受けることができます(新型コロナ税特法6条、新型コロナ税特令4条)。
・一定の期日(注)までに、増改築等の契約を締結していること
・増改築等の終了後6か月以内に、中古住宅に入居していること
・令和3年12月31日までに中古住宅に入居していること
(注)中古住宅の取得をした日から5か月を経過する日または新型コロナ税特法の施行の日(令和2年4月30日)から2か月を経過する日のいずれか遅い日。
こちらに関しては、(注2)以降の赤字(筆者装飾)部分に注意が必要です。
中古の家を購入してから、入居することなくリノベーションを行う町家リノベは(注2)に示されているように、取得の日から6ヶ月以内に入居しないと住宅ローン控除を受けられません。
ただし、新型コロナウイルス等による工事の遅延がある場合、
- 「取得の日から5ヶ月以内」
- 「令和2年6月30日(新型コロナ税特法施行の日から2ヶ月を経過する日)」
のうちのいずれか遅い日までに、「増改築等の契約をした」場合、住宅ローン控除の対象となります。
「コロナウイルス等による工事の遅延」について、工事の従事人数を制限した、物品の納入が遅れたなども該当するようです。
今回私たちの場合、令和2年8月に素体になる町家を購入し、令和2年12月にはリノベーションが完成するはずだったのですが、
コロナのせいで工事の遅延が起こっていました。
結局入居できたのは令和3年4月末だったので、この特例のおかげで住宅ローン控除を使うことができました。
この場合、工務店が出す「入居時期に関する申告書兼証明書(既存住宅の取得後増改築等を行った場合の申告書兼証明書)」が必要となりますので、忘れずに頼んでおきましょう。
今後のコロナ状況がどうなっていくかわかりませんが、素体となる町家の取得日とリノベーション完成日(入居日)には気を付けてください。
また、それにプラスして、入居日が令和4年度末までであれば、控除期間が13年になるようです。(2022年7月24日現在)
(4)増改築等をした後の住宅の床面積が50平方メートル以上(※)であり、床面積の2分の1以上の部分が専ら自己の居住の用に供するものであること。 (5)この特別控除を受ける年分の合計所得金額が、3,000万円以下(※)であること。
※特例特別特例取得の場合の上記(4)の床面積および上記(5)の所得要件は、その住宅の床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満で、かつ、合計所得金額が1,000万円以下となります。
(注)この場合の床面積の判断基準は、次のとおりです。
イ 床面積は、登記簿に表示されている床面積により判断します。
ロ マンションの場合は、階段や通路など共同で使用している部分(共有部分)については床面積に含めず、登記簿上の専有部分の床面積で判断します。
ハ 店舗や事務所などと併用になっている住宅の場合は、店舗や事務所などの部分も含めた建物全体の床面積によって判断します。
二 夫婦や親子などで共有する住宅の場合は、床面積に共有持分を乗じて判断するのではなく、ほかの人の共有持分を含めた建物全体の床面積によって判断します。
ただし、マンションのように建物の一部を区分所有している住宅の場合は、その区分所有する区画の床面積によって判断します。
「特例特別特例取得」とは、床面積が40平方メートル以上50平方未満の住宅の取得等をいいます。 登記簿を確認し、床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満なのか、50平方メートル以上なのかを確認しましょう。
また、合計所得金額については、住宅ローンを借りる本人の1年の所得金額になります。3000万円を超える人は稀だと思いますので、基本的に適用になると思います。
(6)その工事費用の額(平成23年6月30日以降に増改築等に係る契約を締結し、その増改築等の費用に関し補助金等の交付を受ける場合はその額を控除した額)が100万円を超えており、その2分の1以上の額が自己の居住用部分の工事費用であること。
工事費用は、町家のリノベーションであれば最低でも500万円〜かかってきます。
私たちの場合は、リノベーション代だけで2800万円かかりましたので(高かった…)、これもクリアしていました。
(7)10年以上にわたり分割して返済する方法になっている増改築等のための一定の借入金または債務があること。
一定の借入金または債務とは、例えば銀行等の金融機関、独立行政法人住宅金融支援機構、勤務先などからの借入金や独立行政法人都市再生機構、地方住宅供給公社、建設業者などに対する債務です。ただし、勤務先からの借入金の場合には、無利子または0.2パーセント(平成28年12月31日以前に居住の用に供する場合は1パーセント)に満たない利率による借入金は、この特別控除の対象となる借入金には該当しません。また、親族や知人からの借入金は、この特別控除の対象となる借入金には該当しません。
詳しくはコード1225(住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等)を参照してください。
これについては、一般的な住宅ローン(35年、銀行での借入)であれば、基本的にクリアしているものと思います。
町家に住宅ローン融資をしてくれる銀行は、京都の地銀がほとんどですので、問題はないでしょう。
(8)増改築等した家屋をその居住の用に供した個人が次の期間において、その取得をした家屋およびその敷地の用に供している土地等以外の資産(それまでに住んでいた家屋など)について、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例など(租税特別措置法31条の3 第1項、35条1項(同条3項の規定により適用する場合を除きます。)、36条の2、36条の5もしくは37条の5または旧租税特別措置法37条の9の2)の適用を受けていないこと。
イ 令和2年4月1日以後に譲渡した場合
その居住の用に供した年とその前2年・後3年の計6年間
ロ 令和2年3月31日以前に譲渡した場合
その居住の用に供した年とその前後2年ずつの計5年間
長いのでわかりにくいですが、以前に住んでいた家などを売った場合に課税所得の特例などを受けていないかどうか、ということです。
家を売った場合、売った金額が懐に入ってきたときに「譲渡所得」という名目で所得にカウントされてしまいますが、
この特例を使うと最大3000万円が非課税となります。
上記の期間に特例を申請していた場合、住宅ローン控除の申請はできません。
私たちの場合、以前の家は賃貸だったので、問題はありませんでした。
以上、⑴〜⑻に該当することが確認できれば、住宅ローン控除を受けることができます。
借入額のうちどこまでが控除対象?
晴れて要件に該当することが分かったところで、結局いくら控除を受けられるかが気になりますよね。
冒頭で説明したように、町家リノベが該当する控除は「増改築にかかる控除」であるため、
土地代は控除対象になりません。
例えば、総額6000万円、頭金が1000万円、ローン金額が5000万円で、
そのうち土地代が3000万円、リノベ代が3000万円だった場合、
リノベ代の3000万円だけが控除対象となります。
結局うちの家は、増改築費約2800万円の1%=28万円を13年間(増税の特例)を控除していただけることとなりました!
しかも、ローン金額は約5000万円のため、10年後でも住宅ローン控除対象となる2800万円の元金が目減りしません。(それだけすごい額のローンを組んでしまったとも言える)
必要書類を期日までに揃えよう
国税庁のHPを確認
(1)「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」
確定申告の申告用紙のことです。普通の確定申告書とは様式が違うので注意。令和3年度分はここにあります
(2)「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」
住宅ローンを借りた銀行から自動で毎年送られてくる書類です。うちはハガキみたいなやつでした。
(3)工事に係る建築確認済証の写し、検査済証の写しまたは増改築等工事証明書
これは工務店に頼んで出してもらうものなので、早めに頼んでおきましょう。
(4)家屋の登記事項証明書、請負契約書の写し等(※)で、増改築等をした年月日、その費用の額、増改築等をした家屋の床面積および家屋の増改築等が特定取得、特別特定取得、特別特例取得または特例特別特例取得に該当する場合にはその該当する事実を明らかにする書類
・不動産会社と契約した時にもらえる登記事項証明書のコピー
・工事の契約をした工務店との請負契約書の該当ページのコピー
のことですね。
あと、自治体の補助金などを受けている場合は、その交付決定書のコピーも必要です。
また、コロナ特例を受ける場合は、先ほど紹介した「入居時期に関する申告書兼証明書(既存住宅の取得後増改築等を行った場合用)」を、契約先の工務店に書いてもらって提出します。
※増税の13年特例はもう時期が過ぎちゃってるので、割愛しますね。
うちは結構ギリギリになって準備したので、大変でした。スケジュールには余裕を持ってやっておくといいでしょう。
税理士さんに頼るのも手
こんなに用意するの大変!申告書に何書けばいいか全然わからん!となった人、いらっしゃると思います。うちもそうでした(笑)
良心的な工務店さんであれば、確定申告時期に無料税理士相談会を開催しているところがあります。
必要書類を持っていけば、その場でプロがババっと申告書を作ってくれて、あとは出すだけ〜という素晴らしいシステムなので、ぜひ活用してみましょう。
(うちを担当してくれた税理士さんは、さすがに町家リノベは初めてだったのか、少し戸惑っておられました。最終的にはきちんとまとめてくださり、プロってすごいなぁと思った次第です。)
申請できなかった!を避けるためにリノベの注文段階で気を付けておくこと
そもそも住宅ローン控除を受けるため、素体となる町家の完成・入居日を確認(取得日から6ヶ月以内が原則)
取得から6ヶ月以内の入居に間に合わない場合、工務店に 入居時期に関する申告書兼証明書(既存住宅の取得後増改築等を行った場合用) の作成をお願いする。
さらにコロナによる13年の特例を受けたい場合、(2022年7月現在なら)令和4年度末までの入居になるかを確認の上、工務店に 入居時期に関する申告書兼証明書(控除期間13年間の特例措置用) の作成をお願いする。
です。
※コロナの蔓延が続いているので、このブログの情報は古くなっていく可能性があります。自分で税務署の該当ページをチェックすることを怠らないでくださいね!当ブログは責任を負いません。
No.1216 増改築等をした場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁
まとめ
- 町家でも増改築費分は住宅ローン控除の申請が可能!
- ただし入居日・取得日などの制約があるので気をつけて!