【京町家リノベ】町家で住宅ローンを使う!注意点は?
こんにちは。京町家をリノベーションして車2台が入るガレージハウスを作っている,くまです。
いい町家が見つかったクマ!でも,町家を買うのに住宅ローンって借りられるクマ?
安心して!クマくん。結論から言うと,実は町家は住宅ローンが使えるんだ。そう,「町家プロフィール」さえ取れればね。
住宅ローンは,家を購入する際に,比較的低金利で借りられるローンのことです。
家を買うには1000万円単位のお金が必要ですから,よっぽどのお金持ちでない限り,みんな住宅ローンを借りることになります。
ローンですから,当然銀行の審査が必要です。審査は収入の安定性だけでなく,家の建物としての価値(担保性)も加味されます。
新築や築浅中古の場合は,担保として充分価値があるので,収入が安定していれば大抵ローンは下ります。
ただし,町家の場合はとても古い建物になるため,そのままではローンが下りません。
そのため,「京町家プロフィール」と呼ばれる行政のお墨付きが必要となります。
この記事では,京町家で住宅ローンが借りにくい理由,京町家プロフィールの取り方について,実体験に基づいて説明します。
さっそく見ていくクマ!
1. 京町家と住宅ローン
京町家も不動産です。普通の住宅ローンと条件はほとんど同じですが,「京町家プロフィール」を取得することで,融資を受けることができます。
京町家プロフィールについては,後述しますので,「京町家プロフィールの取り方だけ知りたい!」という方は,目次から該当項目にジャンプしてください。
そもそも住宅ローンって何?という人は,まず以下の記事を見て基礎知識を付けてください。
京町家でネックになるのは,築年数
京町家の定義の一つとして重要なのは,
- 昭和25年以前に伝統軸組構法を用いて建築されている建物
ということです。
これはどういうことかというと,日本において「建築基準法」が定められた昭和25年以前に建築された建物である というのが町家の重要な定義の一つとなっている,ということです。
「建築基準法」とは?
昭和25年は終戦の年ですね。 焼野原となった戦後日本に住宅需要が増大した結果,国が家を建てる際の最低限の基準を設けました。それが「建築基準法」です。 地震が起こっても壊れないよう,コンクリートで基礎を作ることが義務付けられたり, 火事が燃え広がらないよう,敷地いっぱいに建てることを禁止する「建蔽率」が定められたりしました。
「建蔽率」とは?
建蔽率とは,敷地の大きさに対して,建物を建てていい大きさの割合のことです。
以下のページにわかりやすくまとめてあります。
京町家は,前述の「建築基準法」の制定以前に建築された建物です。
もともと連棟の長屋(隣の家と柱や壁がつながっている建物)であったため, 敷地いっぱいに建っていることが多いです。例えば,建蔽率60%の地域でも,京町家は90%くらいで建っていたりします。
こういった,建築基準法に適さない物件を「既存不適格物件」と言います。
「既存不適格物件」とはつまり,平たく言えば「違法建築」(!)ということです。
知らなかったクマ~!
「既存不適格物件」が住宅ローンに及ぼす影響
冒頭で述べたように,住宅ローン審査では,おおまかに以下の2点が重視されます。
- 収入の安定性
- 物件の担保性
この,「物件の担保性」を審査するときに,「既存不適格物件」が引っ掛かります。
銀行は,もし住宅ローン借入者が返済できなくなったとき,家そのものを競売に出し, 未返済分の資金を回収しようとします。
その物件がもし,「既存不適格物件(違法建築)」だったらどうでしょう?
買い手がつかずに貸し倒れになってしまう可能性があります。それが繰り返されてしまえば,銀行は破綻します。
そのため,「既存不適格物件」には住宅ローンが下りにくい,という性質があります。
既存不適格物件でも,「京町家プロフィール」があれば,住宅ローンが借りられる!
しかし,既存不適格物件だとしても,京町家は比較的容易に住宅ローンの担保としての要件を満たすことができます。
それは,「京町家プロフィール/カルテ」の取得です。
京都では,京町家が1年に800軒のペースで取り壊されています。
理由は,老朽化や,固定資産税が高額であること,相続税対策など,さまざまですが,
住みたいと思っている若い人がいても,前述のように住宅ローンが借りにくいために買えないというのも問題だったようです。
そこで,京都の風情ある景観を保存・継承していくために,「京町家は担保として価値がある」と行政が太鼓判を押す制度をはじめました。
それが,「京町家プロフィール/カルテ」です。
このプロフィール/カルテを取得した町家は,銀行で住宅ローンを借りることができるようになります。
2. 京町家プロフィールを取得しよう
京町家プロフィールってどうやったら取得できるクマ?
ここに,所定の用紙と料金を出せば,大体2週間ほどで審査してくれます。申請前に,センターの職員が,町家プロフィールに適合しそうかどうか,現地を見て大まかに教えてくれるそうです。
申請書は,物件の所有者が提出します。「京町家プロフィール」は住宅ローンの決済までに用意する必要があるので,売り主に申請してもらいましょう。
また,京町家を専門的に扱う業者が売り主となっている物件の場合は,すでに京町家プロフィールを取ってある場合もあります。
(私たちの場合,料金はちゃっかりローンの決済時に上乗せされました…。しかも京町家プロフィールが出るまでに3週間くらい待ちました。詳しい内容はまた別の機会に記事を書きます。)
ちなみに,プロフィールとカルテの違いは,料金と内容です。
内容 | 料金 | |
---|---|---|
プロフィール | 外観,おおまかな造りを写真で見て審査する | 15,270円 |
カルテ | 由緒沿革なども含め,専門家が現地を見て審査する | 56,010円 |
銀行で住宅ローンを借りるには,プロフィールだけで十分です。文化的な価値があることの証明が欲しい場合は,カルテを頼めばよいのではないかと思います。
晴れて京町家プロフィールが出たら,既存不適格物件でも,住宅ローンの決済に進むことができます。
3. 京町家用の住宅ローンを扱う銀行がある!
ただ,いくら京町家プロフィールを取得したからといっても,どんな銀行でも融資してくれるとは限りません。
京都には,京町家用の住宅ローンを扱う地方銀行があります。そこでの融資なら理解があり,素早いです。
以下に主な銀行を掲載します。
京町家レジデンスローン|住宅ローン|かりる|京都中央信用金庫
京銀住宅ローン 京町家プラン|キャンペーン/おトクな情報一覧|京都銀行
京町家の保存に賛同した地方銀行が,独自に作っている住宅ローンプランです。
しかも,保全・継承が目的であるため,ローンの利率が普通の住宅ローンより数%低く設定されています。
まだ町家プロフィールが出ていない段階でも,プロフィールがでることが前提であれば,事前審査してくれますので,窓口に相談してみるのがよいでしょう。
また,事前審査は複数通して,条件や利率を比較することをお勧めします。
余談ですが,利率のよいメガバンクやネット銀行は,事前審査はすぐ通りますが,本審査で落ちることが多いそうです。
4. 住宅ローン控除は使える?
住宅ローン控除とは,住宅ローンを組んだ翌年からの確定申告で,「住宅ローン控除」を申請すれば,最大1年で40万円分の税金が控除されるという制度です。
年末時点のローン残高の1%分が税額控除となり,最大10年間(13年間の特例もある)受けられます。
利息分を国が負担してくれるようなものと考えてよいでしょう。
しかし,上限40万円は,あくまで優良耐震・省エネ住宅の場合のみです。
町家の場合,基本的には中古住宅なので,リノベーションして優良耐震・省エネ住宅にしない限り,年上限20万円までしか控除されません。
建築基準法も満たさないような築100年近い家で,しかも縦長のため耐震性能が弱い。それが町家の良さでもあり弱みでもあります。
優良耐震・省エネ住宅にしようと思えば,リノベーション費用は跳ね上がり,耐震壁をたくさんとりつけることになり,風情もなくなります。
住宅ローン控除を望んでいる方には,町家はおすすめできません。
→当時書いた記事の認識に齟齬がありました。住宅ローン控除は受けられる可能性が高いです。 税理士に相談の上、また記事をまとめますので、しばしお待ちください。
町家でも住宅ローン控除が受けられました!詳しくはこちらの記事をどうぞ
5. まとめ
- 「京町家プロフィール」を取得すれば,町家の購入にも住宅ローンが使える!
- 住宅ローン控除の上限は残念ながら年上限20万円まで。